夏天的草帽 荻原朔太郎

夏天的草帽

荻原朔太郎

青年时代,不论是谁都曾对无聊之事产生过热情。那时,在某地方高中就读的我,每到初夏就必定会因某件事而热情高涨。那实在是件不值得一提的无聊之事﹣﹣这件事情便是希望能够戴上某顶自己十分喜欢的草帽。这顶我喜欢的帽子既不是巴拿马帽,也不是托斯卡纳草帽,而是系着绛紫色缎带的一高的草帽。

我也不知道自己究竟为何会如此喜欢这顶学生帽。也许是因为当时我正热衷于阅读森鸥外的《青年》,以及夏目漱石的学生小说吧,我从中联想到了一高的学生们,联想到他们在初夏的嫩叶中、在上野的森林里散步,我把他们的草帽作为了象征,与我的联想心理结合在了一起。

总之,只要我想到那绛紫色的缎带、想到那学生帽,我就会不可思议地联想到令人感怀的德国戏曲《老海德堡》,感受到轻抚夏日嫩叶的大海的乡愁。

注释

①「夏帽子]【名】夏天用的帽子,草帽,巴拿马帽等

②「とにかく」【副】无论如何,不管怎样;总之;好歹,不论好坏

③「そよぐ」【自五】摇曳,拂动那阵子,我就读的高中也以一高为标准制作了草帽,草帽有深红色的缎带,段带上有两条白线。我很讨厌这顶帽子,于是我要么用红色的墨水把那两条白线涂掉,要么就把那深红色的缎带用紫色的颜料染掉,从而硬是把它弄得和一高的帽子很像。然而终于有一天,这种热情再也无法抑制,于是我便趁着某个夏天的假期去了东京,在本乡的帽子店买了顶一高的特制帽子。

然而,买过之后我又开始陷入愚蠢的悔恨当中。就算买回了那种帽子,自己又不是什么一高的学生,一想都惭愧,怎么可能戴着出去散步呢。

在没人的时候我曾偷偷地戴过那顶帽子,联想着森鸥外的《青年》和《老海德堡》,仿佛自己就是里面的主人公一般,我想就这样沉溺在空想的喜悦中。这种强烈的欲望无论如何都无法压抑下去。终于,在某年夏天7月份休假的时候,我悄悄地把帽子放进行李,前往日光山中的中禅寺避暑。选择的住处当然是湖畔宾馆。它是那些存在于我空想中的人物理所应当选择的宾馆。

有一天,我想去看小瀑布,于是便独自一人登上了夏日的山道。七月初的阳光在绿叶的影子间闪烁着光亮。

走出住处的时候,我一横心戴上了行李中的那顶帽子。我觉得在这样寂静的山道上肯定不会有其他人,自己可以不用难为情地随意沉浸在想象的世界中。夏天的山道上开着各种各样白色的花朵。我穿着学生裤,戴着那顶草帽,虽然已经感觉到自己的皮肤早就大汗淋漓,我却依旧严肃地高耸起肩膀,表现出一副德国学生的青春模样,我就这样一边感受着浪漫的豪迈,一边在山道上走着。我的怀里揣着刚在丸善买到的心念已久的海涅诗集。诗集里画着铅笔索引,还有几处夹着凋零的花草。

注释

④「紛らす」【他五】蒙混过去,掩饰过去,岔开,支吾过去;排遣,解,消

⑤「本郷」【名】东京都文京区的东南部地区,区内有东京大学

⑥「耽る」【自五】耽于,沉湎,入迷,沉溺;埋头,专心致志

⑦「思い切る」【他五】断念,死心;下定决心

⑧「汗ばむ」【自五】出汗,冒汗,汗津津

走到山道尽头的悬崖处时,我的面前突然出现了两个打着洋伞的身影。她们应该是两姐妹,都是很漂亮的姑娘。我突然毫无缘由地感到一种缩手缩脚的羞愧,以及一人独行的难为情,于是我加快了脚步,特意装作没有看到她们的样子,姿态愈加严肃地超过了她们。然而,不论我怎样假装对她们毫不在意,却又都只是一种徒劳的努力,我的神态是那样的僵硬。想到自己居然能在如此人迹罕至的山道上与美丽的姑娘们不期而遇,居然能和她们说上几句话,我的心中很是喜悦,并在这种虚构的幸福中惴惴不安。

我一面超过她们,一面为自己在此等绝妙的场合中不能抓住机会而懊恼不已。

然而就在此时,一个偶然的良机出现了。就在我为了擦汗用手绢擦拭额头时,我的帽子从头上滑落了。它像一只轮子似的滚出去了好远,一直滚到我身后五六步远的姑娘们的脚下才停住。年轻一些的姑娘马上把帽子捡了起来。她大大方方而且十分高兴地向我走来。

"实在是……实在是太感谢了。"我惊慌失措地道了谢。然后便匆匆忙忙地戴上帽子,仿佛逃走一般快步离开。世界似乎变成了通红一片,我实在是不知道如何是好,只有机械地迈着步子,快速地向前走着。

然而身后却立刻传来了姑娘的喊声。"不好意思,我想向您请教一下……"这次是姑娘中的姐姐。她看起来应该比我大个一两岁,是个有着伶俐美眸的女人。"去瀑布的话,走这条路对吗?"说着,她的脸上露出了仿佛和我很熟络似的微笑。

"是!"我拘束地板起脸,像士兵那样回答着。姑娘盯着我的脸看了一会儿,然后又用很世故的语调说道:"不好意思,您是一高的吗?"我有些不知该如何回答。"不是。"这句否定的回答一瞬间差点脱口而出。然而在下一个瞬间,草

注释

⑨「パラ

帽的事情却又浮现在我的脑海,让我很吃惊地流出了冷汗。我没时间思考,只能很含糊暧昧地回答道:"是!"

"那么您是……"姑娘仿佛连珠炮一般追问道。"您是秋元子爵的爱子吧?我认识您。"这次我用很大的声音清晰地回答道:"不,你弄错了。"

然而姑娘却用更加疑惑的眼神盯着我。毫无来由的害羞以及不安的担心让我焦躁起来,我把她们甩在身后,快步走开了。

回到宾馆,我偶然发现姑娘们原来就住在我隔壁的房间。她们和年老的母亲一道来到这里。经过多次机缘巧合,我终于不可避免地与她们熟络了。后来我和其中的姐姐还发展成一同去林间散步的朋友。这位年龄比我大的姑娘很显然对我有所爱恋。她总是叫我"少爷"。

最初我以为她那么做不过是一种天真的刁难,只是出于恶作剧的心理而已,因此我也就特意装模作样地像个贵族似的回答。然而有一次她却很严肃地跟我说了一件事情。她说在很早以前,她在一高的运动会以及其他的机会中熟识了秋元子爵的爱子。而我绝对就是那个人,无论我怎样佯装不知,她都觉得我就是那个人,她对此坚信不疑。

对于这种坚信不疑,不论我怎样辩驳都不能使她收回判断。最后我也没办法,之后只好将就着她摆出一副华族公子的姿态。

最后的日子终于来临了。

在那个知了鸣叫的森林小路上,沐浴着夏日傍晚景致,她悄悄地靠近了我,那神情好像是想要将自己心中的秘密一吐为快。我从很早以前就已经对自己的伪装苦恼得忍无可忍了。我不是一高的学生,更不是什么华族子弟。然而我却厚脸

注释

⑤「どきり」【副】因为惊讶、恐惧、欢喜等突然激动起来

⑩「ずんずん」【副】迅速地,快速地;事情发展得快而顺利的样子

⑦「しらばくれる」【自下一】佯装不知,假装不知

⑧「況や」【副】何况,

更皮地戴着一高的制帽、心情愉快地被称呼为"少爷"。不论怎样辩解,我都是不良少年的典型,因为我做了跟他们一样的事情。

我悔恨得无以复加。于是,在一天夜里我收拾好了行李,准备出发离开。

翌日一大早,我一个人登上了后山。那里夏草繁盛,油蝉在树丛间鸣叫。我从包中拿出帽子,两只手握着它把它一撕两半。

麦草啪啦啪啦裂开的声音不可思议地让我悲上心头。那绛紫色的缎带也沾满了地面上的泥巴,被我的木屐踩在脚下。

夏帽子

萩原朔太郎

青年の時は、だれでもつまらないことに熱情をもつものだ。

 その頃、地方の或る高等学校に居た私は、毎年初夏の季節になると、きまつて一つの熱情にとりつかれた。それは何でもないつまらぬことで、或る私の好きな夏帽子を、被つてみたいといふ願ひである。その好きな帽子といふのはパナマ帽でもなくタスカンでもなく、あの海老茶色のリボンを巻いた、一高の夏帽子だつたのだ。

 どうしてそんなにまで、あの学生帽子が好きだつたのか、自分ながらよく解らない。多分私は、その頃愛読した森鴎外氏の『青年』や、夏目漱石氏の学生小説などから一高の学生たちを聯想し、それが初夏の青葉の中で、上野の森などを散歩してゐる、彼等の夏帽子を表象させ、聯想心理に結合した為であらう。

 とにかく私は、あの海老茶色のリボンを考へ、その書生帽子を思ふだけでも、ふしぎになつかしい独逸の戯曲、アルト・ハイデルベルヒを聯想して、夏の青葉にそよいでくる海の郷愁を感じたりした。

 その頃私の居た地方の高等学校では、真紅色のリボンに二本の白線を入れた帽子を、一高に準じて制定して居た。私はそれが厭だつたので、白線の上に赤インキを塗りつけたり、真紅色の上に紫絵具をこすつたりして、無理に一高の帽子に紛らして居た。だがたうとう、熱情が押へがたくなつて来たので、或夏の休暇に上京して、本郷の帽子屋から、一高の制定帽子を買つてしまつた。

 しかしそれを買つた後では、つまらない悔恨にくやまされた。そんなものを買つたところで、実際の一高生徒でもない自分が、まさか気恥しく、被つて歩くわけにも行かなかつたから。

 私は人の居ないところで、どこか内証に帽子を被り、鴎外博士の『青年』やハイデルベルヒを聯想しつつ、自分がその主人公である如く、空想裡の悦楽に耽りたいと考へた。その強い欲情は、どうしても押へることができなかつた。そこで、或夏、七月の休暇になると同時に、ひそかに帽子を行李に入れて、日光の山奥にある中禅寺の避暑地へ行つた。もちろん宿屋は、湖畔のレーキホテルを選定した。それは私の空想裡に住む人物としても、当然選定さるべきの旅館であつた。

 或日私は、附近の小さな滝を見ようとして、一人で夏の山道を登つて行つた。七月初旬の日光は、青葉の葉影で明るくきらきらと輝やいて居た。

 私は宿を出る時から、思ひ切つて行李の中の帽子を被つて居た。こんな寂しい山道では、もちろんだれも見る人がなく、気恥しい思ひなしに、勝手な空想に耽れると思つたからだ。夏の山道には、いろいろな白い花が咲いて居た。私は書生袴に帽子を被り、汗ばんだ皮膚を感じながら、それでも右の肩を高く怒らし、独逸学生の青春気質を表象する、あの浪漫的の豪壮を感じつつ歩いて居た。懐中には丸善で買つたばかりの、なつかしいハイネの詩集が這入つて居た。その詩集は索引の鉛筆で汚されて居り、所々に凋れた草花などが押されて居た。

 山道の行きつめた崖を曲つた時に、ふと私の前に歩いて行く、二個の明るいパラソルを見た。たしかに姉妹であるところの、美しく若い娘であつた。私は何の理由もなく、急に足がすくむやうな羞しさと、一人で居るきまりの悪さを感じたので、歩調を早めながら、わざと彼等の方を見ないやうにし、特別にまた肩を怒らして追ひぬけた。どんな私の様子からも、彼等に対して無関心で居ることを装はうとして、無理な努力から固くなつて居た。そのくせ内心では、かうした人気のない山道で、美しい娘等と道づれになり、一口でも言葉を交せられることの悦びを心に感じ、空想の有り得べき幸福の中でもぢもぢしながら。

 私は女等を追ひ越しながら、こんな絶好の場合に際して機会チヤンスを捕へなかつたことの愚を心に悔いた。

 だが丁度その時、偶然のうまい機会が来た。私が汗をぬぐはうとして、ハンケチで額の上をふいた時に、帽子が頭からすべり落ちた。それは輪のやうに転がつて行つて、すぐ五六歩後から歩いて来る、女たちの足許に止まつた。若い方の娘が、すぐそれを拾つてくれた。彼女は恥ぢる様子もなく、快活に私の方へ走つて来た。

「どうも……どうも、ありがたう。」

 私はどぎまぎしながら、やつと口の中で礼を言つた。そして急いで帽子を被り、逃げ出すやうにすたすたと歩き出した。宇宙が真赤に廻転して、どうすれば好いか解らなかつた。ただ足だけが機械的に運動して、むやみに速足で前へ進んだ。

 だがすぐ後の方から、女の呼びかけてくる声を聞いた。

「あの、おたづね致しますが……」

 それは姉の方の娘であつた。彼女はたしかに、私よりも一つ二つ年上に見え、怜悧な美しい瞳めをした女であつた。

「滝の方へ行くのは、この道で好いのでせうか?」

 さう言つて慣れ慣れしく微笑した。

「はあ!」

 私は窮屈に四角ばつて、兵隊のやうな返事をした。女は暫らく、じつと私の顔を眺めてゐたが、やがて世慣れた調子で話しかけた。

「失礼ですが、あなた一高のお方ですね?」

 私は一寸返事に困つた。

「いいえ」といふ否定の言葉が、直ちに瞬間に口に浮んだ。けれども次の瞬間には、帽子のことが頭に浮んで、どきりと冷汗を流してしまつた。私は考へる余裕もなく、混乱して曖昧の返事をした。

「はあ!」

「すると貴方は……」

 女は浴せかけるやうに質問した。

「秋元子爵の御子息ですね。私はよく知つて居ますわ。」

 私は今度こそ大きな声で、はつきりと返事をした。

「いいえ。ちがひます。」

 けれども女は、尚疑ひ深さうに私を見つめた。或る理由の知れないはにかみと、不安な懸念とにせき立てられて、私は女づれを後に残し、速足でずんずんと先に行つてしまつた。

 私がホテルに帰つた時、偶然にもその娘等が、隣室の客であることを発見した。彼等はその年老いた母と一緒に、三人で此所に来て居た。いろいろな反覆する機会からして、避けがたく私はその女づれと懇意になつた。遂には姉娘と私だけで、森の中を散歩するやうな仲にもなつた。その年上の女は、明らかに私に恋をして居た。彼女はいつも、私のことを『若様』と呼んだ。

 私は最初、女の無邪気な意地悪から、悪戯に言ふのだと思つたので、故意わざと勿体ぶつた様子などして、さも貴族らしく返事をした。だが或る時、彼女は真面目になつて話をした。ずつと前から、自分は一高の運動会やその他の機会で、秋元子爵の令息をよく知つてること。そして私こそ、たしかにその当人にちがひなく、どんなにしらばくれて隠してゐても、自分には解つてるといふことを、女の強い確信で主張した。

 その強い確信は、私のどんな弁駁でも、撤回させることができなかつた。しまひには仕方がなく、私の方でも好加減に、華族の息子としてふるまつて居た。

 最後の日が迫つて来た。

 かなかな蝉の鳴いてる森の小路で、夏の夕景を背に浴びながら、女はそつと私に近づき、胸の秘密を打ち明けようとする様子が見えた。私はその長い前から、自分を偽つてゐる苦悩に耐へなくなつてた。自分は一高の生徒でもなく、況んや貴族の息子でもない。それに図々しく制帽を被り、好い気になつて『若様』と呼ばれて居る。どんなに弁護して考へても、私は不良少年の典型であり、彼等と同じ行為をしてゐるのである。

 私は悔恨に耐へなくなつた。そして一夜の中に行李を調へ、出発しようと考へた。

 翌朝早く、私は裏山へ一人で登つた。そこには夏草が繁つて居り、油蝉が木立に鳴いて居た。私は包から帽子を出し、双手に握つてむしり切つた。

 麦藁のべりべりと裂ける音が、不思議に悲しく胸に迫つた。その海老茶色のリボンでさへも、地面の泥にまみれ、私の下駄に踏みつけられてゐた。

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来源:TechFM
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THE END
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