老师的脸 竹久梦二
先生の顔
竹久夢二
1
それは火曜日の地理の時間でした。
森先生は教壇の上から、葉子ようこが附図ふずの蔭かげにかくれて、ノートへ戯書いたずらがきをしているのを見つけた。
「葉子さん、そのノートを持ってここへお出いでなさい」不意に森先生が仰有おっしゃったので、葉子はびっくりした。
葉子は日頃ひごろから成績の悪い生徒ではありませんでした。けれど鉛筆と紙さえ持つと、何時いつでも――授業の時間でさえも絵を画かきたがる癖がありました。今も地理の時間に、森先生の顔をそっと写生していたのでした。そして葉子は森先生を大変好きでした。
森先生に呼ばれて、葉子ようこはそのノートを先生の前へ出した。先生はすこし厳こわい顔をしてノートを開けて御覧になった。するとそこには、先生の顔が画かいてあった。
森先生は、それをお読みになって、笑いたいのを我慢して、やっとこう仰有おっしゃった。
「今日は許してあげますけれど、これからは他ほかの時間に絵を画いてはいけませんよ。これは私が預っておきます」
葉子はお辞儀をして静かに自分の席へつくと、教壇の方を見あげた。けれど森先生は、決して葉子の方を御覧にならなかった。葉子にはそれが心配でならなかった。
やがて授業時間がすむのを待ちかねて、生徒達は急いで家うちへ帰っていった。葉子は一番最後に学校の門を出て、たったひとり帰ってきた。途途みちみちにも今日の地理の時間のことが心を放れなかった。
2
つぎの日、葉子はすこし早めに家を出て、森先生のいつも通っていらっしゃる橋の上で先生を待っていた。やがて先生は、光子みつこという同級の生徒と連れだって歩いていらした。葉子は丁寧にお辞儀をした。先生は何事もなかった前のように、にこやかに「おはよう」を仰有った。それで葉子は、ほっと安心した。そしてうれしさに忙しくて、悪い気ではなく光子に「おはよう」を言うのを忘れていた。
「葉子さんおはよう!」光子はわざと意地悪く葉子の前へ突立つったってお辞儀をした。そして「葉子さん、今日は廻まわり道をしていらしたのね」
と光子は科とがめるように言った。葉子は日頃ひごろから意地の悪い光子が好きでなかった。
「ええ」と葉子はおとなしく答えた。
森先生は、葉子のリボンをなおしてやりながら、
「葉子さんのお宅うちは山の方でしたねえ。お宅の近所の野原には沢山に草花が咲いていてどんなにか好いいでしょうね」
「先生はあんな田舎いなかの方がお好きですか」
「ええ、毎日でもゆきたいと思いますわ」
「先生、私の宅へいつかいらっしゃいましな。そりゃあ綺麗きれいな花があるの。だって、葉子さんのお宅の庭よかずっと広いんですもの」
光子が勢いきおいこんで言ったけれど、誰だれもそれには答えなかった。
3
つぎの日も、そのつぎの日も、葉子ようこは森先生を橋の上で待合して学校へ行った。けれどノートの事については何にも仰有おっしゃらなかった。葉子もそれをきこうとはしなかった。
光子みつこは葉子が先生と一緒に学校へ来るのが妬ねたましくてならなかった。その週間も過ぎて、つぎの地理の時間が来た。
葉子が忘れようとしていた記憶はまた新しくなった。葉子は、おずおずと先生の方を見た。先週習ったところは幾度となく復習して来たから、どこをきかれても答えられたけれど、先生は葉子の方を決して見なかった。そして光子に向って、
「巴里パリーはどこの都ですか」とお訊たずねになった。すると「佛蘭西フランスの都であります」と光子が嬉うれしそうに答えた。
地理の時間が終ると、運動場うんどうばのアカシヤの木の下へいって、葉子はぼんやり足もとを見つめていた。何ということなしに悲しかった。
「葉子さん」そう言って後あとから葉子の肩を軽く叩たたいた。それは葉子と仲好なかよしの朝子あさこであった。朝子は葉子の顔を覗のぞきこんで「どうしたの」ときいた。
「どうもしないの」そういって葉子は笑って見せた。
「そんなら好いいけど。何だか考えこんでいらっしゃるんですもの、言って好いことなら私に話して頂戴ちょうだいな」
「いいえ、そんな事じゃないの、私すこし頭痛がするの」
「さう、そりゃいけないわね」
葉子はじっと思入おもいいって朝子を見つめて「朝子さん」
「え」
「あなた森先生お好き?」
「ええ、好きよ、大好きだわ」
「あたしも好きなの、でも先生は私のことを怒っていらっしゃる様なの」
「そんなことはないでしょう」
葉子は、朝子に心配の種を残らず打明けた。それから二人は森先生のやさしいことや、先生は何処どこの生れの方だろうという事や、先生にもお母様があるだろうかという事や、もし先生が病気なさったら、毎日側そばについて看病してあげましょうねという事や、もしや死んでしまっても、先生のお墓の傍そばに、小さい家うちをたてて、先生のお好きな花をどっさり植えましょうという事などを語り合った。
4
それから三日目の朝、学校へゆくと森先生が病気だという掲示が出ていた。葉子ようこは、学校から帰ると大急ぎで野原へ出て、いつぞや森先生が仰有おっしゃった、お好きな花を抱えきれないほどたくさんに摘みとった。
葉子は、いつか森先生に出逢であった橋の所まで来ると、向うから光子みつこが来るのに会った。
「何処どこへ行くの?」光子がいきなりきいた。森先生の許とこへといえば、また何とか意地悪い事を言われるのがいやさに、それとなく、
「ちょっとそこまで……」と答えた。
「隠したって知っててよ、森先生の許でしょう! 先生の所へいったって駄目よ。先生はあなたのこと怒っていらしてよ。そしてあなたを大嫌いだって」
さも憎らしそうに光子は言って、葉子の持っている花を見つけた。
「まあ、それを先生の許へ持っていらっしゃるの。そうでしょう※(疑問符感嘆符、1-8-77) 先生の許にはもっと綺麗きれいな花が山のようにあってよ。だって温室からとっていったんですもの。でもいらっしゃりたいなら勝手にいくと好いいわ。そんなきたない花を先生はお喜びになるかもしれないわ。あばよ」そう言捨てて光子は行ってしまった。
あとに残された葉子は橋の欄干にもたれて、じっと唇をかんで怺こらえたが、あつい涙がはらはらと水のうえに落ちた。
葉子はしばらく橋の上から川の水を眺めていたが、手に持っていた花束を水の中へ投捨てて一散に家うちの方へ走った。
5
その日の夕方、森先生の使つかいが、葉子の許もとへ一つの包を届けた。葉子は何事かと思いつつ包をとくと中からいつぞやのノートが一冊出てきた。葉子は恐る恐るノートをあけた。すると、森先生の手蹟しゅせきでつぎの事が書かれてあった。
葉子さん。
あなたの愛らしいノートをお返しする時がきました。
絵を画くことは少しも悪くなかったのです。ただ、画く時でない時に画いた事だけがいけなかったのです。あなたが私のために花を摘んで下さったことも、橋の上から川へ流したことも、みんな私は知っています。あなたの心づくしの花束は、私の病室の窓の下を流れる水におくられて、私の手に入りました。私はどんなにあなたのやさしい親切を感謝したことでしょう。
安心して下さい。私の病気はほんの風邪に過ぎません。次の月曜日からまた教場でお目にかかりましょう。
葉子ようこさん。
どうぞこれからはもっと善い子になって下さい。他ほかの稽古けいこの時に絵を画かいたりしないような、そしてお友達に何を言われても、好よいと思ったことを迷わずするような、強い子になって下さい。
それでは
さようなら
老师的脸
竹久梦二
1.
那是周二的地理课时间。
森老师从讲台上发现,叶子正躲在地图背后,在笔记本上乱写乱画。
“叶子同学,请拿着那本笔记本到这里来。”森老师突然说道,叶子吓了一跳。
叶子平时并不是成绩差的学生。但她只要一拿到铅笔和纸,无论什么时候——哪怕是上课时间,都忍不住想画画。这次也是,在地理课上,她正偷偷地画着森老师的脸。而且,叶子非常喜欢森老师。
被老师叫到后,叶子把笔记本拿到了老师面前。老师板着脸,打开笔记本看了看。只见上面画着老师的脸。
森老师看了之后,强忍着笑意,终于说道:
“今天就原谅你了,但以后不许在其他时间画画了。这本笔记本我先替你保管。”
叶子鞠了一躬,静静地回到自己的座位,然后抬头看向讲台。但森老师始终没有看她一眼。叶子为此忧心忡忡。
不久,下课铃响了,同学们都急着回家。叶子最后一个走出校门,独自回家。一路上,她都在想着今天地理课上的事。
2.
第二天,叶子稍微早一点出了家门,在森老师常经过的桥上等着老师。不久,老师和同班同学光子一起走了过来。叶子礼貌地鞠了一躬。老师像往常一样,和蔼地说了声“早上好”。叶子这才松了一口气。因为太高兴了,她甚至忘了像往常一样跟光子说“早上好”。
“叶子同学,早上好!”光子故意恶作剧似的走到叶子面前鞠了一躬。然后说:“叶子同学,你今天是绕路来的吧?”
光子总是故意刁难叶子,叶子向来不喜欢她。
“嗯。”叶子乖乖地回答道。
森老师一边帮叶子整理着丝带,一边说:
“叶子同学家在山那边吧。你家附近的原野上开满了各种各样的花,一定很美吧。”
“老师喜欢那种乡下地方吗?”
“嗯,我每天都想去呢。”
“老师,您什么时候来我家玩吧。我家有很多漂亮的花。而且,叶子家的院子可大了。”
光子激动地说着,但没人回应她。
3.
接下来的几天,叶子都在桥上等着森老师,然后一起去学校。但老师再也没提过笔记本的事,叶子也没敢问。
光子嫉妒叶子能和老师一起上学。又到了地理课时间。
叶子本想忘记的记忆又涌上心头。她怯生生地看了老师一眼。因为上周学的内容她已经复习了很多遍,所以无论老师问什么,她都能答上来,但老师始终没有看她一眼。然后,老师问光子:
“巴黎是哪个国家的首都?”光子高兴地回答道:“是法国的首都。”
地理课结束后,叶子来到操场的洋槐树下,呆呆地看着脚下。莫名地感到难过。
“叶子同学。”有人轻轻拍了拍她的肩膀。是和她关系很好的朝子。朝子看着叶子的脸问:“你怎么了?”
“没什么。”叶子笑着回答。
“那就好。你好像在想什么心事,要是愿意的话,就跟我说说吧。”
“不,没什么,我有点头疼。”
“那可不行。”
叶子认真地看着朝子说:“朝子同学。”
“嗯?”
“你喜欢森老师吗?”
“嗯,喜欢,非常喜欢。”
“我也喜欢,但老师好像在生我的气。”
“怎么会呢。”
叶子把心里的担忧都告诉了朝子。然后,两人聊起了森老师的温柔,老师是哪里人,老师有没有妈妈,要是老师生病了,她们要每天去照顾他,要是老师去世了,她们要在老师的墓旁建一座小房子,种满老师喜欢的花。
4.
三天后的早晨,叶子去学校时,看到布告栏上说森老师生病了。叶子放学回家后,急忙跑到原野上,摘了满满一大抱森老师喜欢的花。
叶子来到曾经遇到森老师的桥上,碰到了迎面走来的光子。
“你要去哪里?”光子突然问道。叶子不想让她知道自己要去看森老师,免得又被她刁难,于是含糊地回答道:
“就去那边……”
“你别瞒我了,你是去森老师那里吧!你去了也没用。老师在生你的气,而且非常讨厌你。”
光子恶狠狠地说着,看到了叶子手里的花。
“哟,你还想把这些花送给老师啊。老师那里的花多着呢,而且比这些漂亮多了。那些都是从温室里摘的。你要是想去就去吧。说不定老师会喜欢你这些脏兮兮的花呢。再见。”说完,光子就走了。
叶子靠在桥的栏杆上,紧咬着嘴唇,强忍着泪水,但滚烫的泪水还是一滴一滴地落在了水面上。
叶子在桥上看了一会儿河水,然后把手里的花束扔进了水里,然后飞奔回家。
5.
那天傍晚,森老师的使者给叶子送来了一个包裹。叶子一边想着是什么,一边打开包裹,发现里面是那本笔记本。叶子小心翼翼地打开笔记本,上面写着森老师的留言:
叶子同学。
现在,我该把你可爱的笔记本还给你了。
画画本身并没有错,只是不该在不该画的时候画。你为我摘花,又把花从桥上扔进河里,这些我都知道。你用心准备的花束顺着我病房窗外的水流到了我手里。我是多么感激你的善良和体贴啊。
请放心。我的病只是小感冒而已。下周一我们再在教室见面吧。
叶子同学。
希望你以后能成为一个更乖的孩子。不要在其他学习时间画画,不管朋友说什么,都要勇敢地去做自己认为对的事,做一个坚强的孩子。
那么,再见!
人形物語
竹久夢二
1
あるちいさな女の児こと、大きな人形とが、ある日お花はなさんのおうちをたずねました。
ところが その女の児は、それはもうほんとに、ちいさな女の児で、その人形はまた、それはそれはすばらしい大きな人形だったのです。
それゆえ、お取次に出た女中には、人形だけしか眼めに入らなかったのです。女中はおどろいてお花さんに、
「まあお嬢さま! 大きなお人形さんがお嬢さまに逢あいにいらっしゃいましたよ」と言いました。
2
「玉たまちゃん」茶の間で、お母様の声がする。
「はあ」と愛想よく玉ちゃんは答えました。
「後生ですから、そこから鋏はさみをもってきて頂戴ちょうだいな、ね」こんどはだまっていましたが、いそいでそこにあった人形を抱きあげて、
「あたし、いま、人形におっぱいあげていますの……」と言いました。暫しばらくすると可愛かあい子守唄こもりうたがきこえて来ました。
ねんねしなされまだ日はたかい。
暮れりゃお寺の鐘がなある。
3
お冬ふゆさんの人形は病気でした。
ちいさなお医者様は、大きな時計を出して、人形の脈をとりながら「ははあ」と小首をかたげました。
お冬さんは、心もとなさに、
「先生、いかがでございましょう」
とたずねました。先生は手を拭ふきながら、
「なあに、ちょっとした風邪ですから御心配には及びません。お子様方は夜おやすみの時、おなかを出さないように気をつけて下さい」
と言いました。
人偶物语
竹久梦二
1
有个小女孩,带着一个大人偶,有一天去拜访了花小姐家。
然而,那个小女孩,真的就是个小女孩,而那个人偶,也是个非常棒的大人偶。
因此,出来接待的女仆眼里只看到了人偶。女仆惊讶地对花小姐说:
“哎呀,小姐!有个大人偶来看望小姐您啦。”
2
“小玉!”客厅里传来母亲的声音。
“哎~”小玉乖巧地回应道。
“帮个忙,去把那边的剪刀拿过来,好吗?”这次小玉没吭声,而是赶忙抱起旁边的人偶,
“我现在正在给人偶喂奶呢……”她说道。过了一会儿,传来了可爱的摇篮曲。
快快睡呀,天还亮着呢。
天黑了,寺庙的钟声会敲响。
3
冬子小姐的人偶生病了。
小个子医生拿出一个大怀表,一边给人偶把脉,一边“呵呵”地歪了歪脑袋。
冬子小姐忧心忡忡地问道:
“医生,情况怎么样啊?”
医生一边擦手一边说:
“没什么,只是有点小感冒,不用太担心。孩子们晚上睡觉的时候,注意别把肚子露在外面就行。”
風
竹久夢二
風が、山の方から吹いて来ました。学校の先生がお通りになると、街で遊んでいた生徒達たちが、みんなお辞儀をするように、風が通ると、林に立っている若い梢こずえも、野の草も、みんなお辞儀をするのでした。
風は、街の方へも吹いて来ました。それはたいそう面白そうでした。教会の十字塔を吹いたり、煙突の口で鳴ったり、街の角を廻まわるとき蜻蛉とんぼ返りをしたりする様子は、とても面白そうで、恰度ちょうど子供達が「鬼ごっこするもん寄っといで」と言うように、「ダンスをするもん寄っといで」といいながら、風の遊仲間あそびなかまを集めるのでした。
風が面白そうな歌をうたいながら、ダンスをして躍廻おどりまわるので、干物台のエプロンや、子供の着物もダンスをはじめます。すると木の葉も、枝の端で踊りだす。街に落ちていた煙草たばこの吸殻も、紙屑かみくずも空に舞上まいあがって踊るのでした。
その時、街を歩いていた幸太郎こうたろうという子供の帽子が浮かれだして、いつの間にか、幸太郎こうたろうの頭から飛下りて、ダンスをしながら街を駆けだしました。その帽子には、長いリボンがついていたから、遠くから見るとまるで鳥のように飛ぶのでした。幸太郎は、驚いて、「止れ!」と号令をかけたが、帽子は聞えないふりをして、風とふざけながら、どんどん大通りの方までとんでゆきます。
一生懸命に、幸太郎は追っかけたから、やっとのことで追いついて、帽子のリボンを押えようとすると、またどっと風が吹いてきたので、こんどはまるで輪のようにくるくると廻まわりながら駆けだしました。
「坊ちゃん、なかなかつかまりませんよ。」
帽子が駆けながらいうのです。
すると、こんどは大通おおどおりから横町の方へ風が吹きまわしたので、幸太郎の帽子も、風と一しょに、横町へ曲ってしまいました。そしてそこにあったビール樽たるのかげへかくれました。
幸太郎は大急ぎで、横町の角まできたが、帽子は見つかりません。
「ぼくの帽子がないや」
幸太郎は、もう泣きだしそうになって言いました。帽子をつれていった風も、幸太郎を気の毒になってきて、
「坊ちゃん、私が見つけてあげましょう。」
そういって、ビール樽のかげの帽子のしっぽを、ひらひらと吹いて見せました。幸太郎は、すぐ帽子のある所を見つけました。
「万歳!」
幸太郎は、帽子の尻尾しっぽをつかんで叫びました。
「風やい、もう取られないぞ!」
幸太郎は、帽子のつばを両手で、しっかり握っていいました。
「ほう、ほう」風はそう言いながら、飛んで行きました。
エプロンも、木の葉も、紙屑かみくずもまたダンスをしていたけれど、幸太郎の帽子はもうダンスをしませんでした。
风
竹久梦二
风从山那边吹来。就像学校的老师经过时,在街上玩耍的学生们都行礼一样,风吹过时,立在树林里的年轻树梢、野草也都行礼。
风也吹向城市。那个看起来很有趣。吹教堂的十字塔,烟囱口的声音,在街角转的时候翻蜻蜓的样子,好像很有趣,就像孩子们说“来来来玩捉迷藏”一样,“来来来跳舞”。等一下”,把风的同伴们召集起来。
风一边唱着有趣的歌,一边跳着舞,所以晾物台上的围裙和孩子们的和服也开始跳舞。于是树叶也开始在树枝的一端跳舞。街上的烟蒂、纸屑也飞舞在空中。
这时,走在街上的一个叫幸太郎的孩子的帽子飘了起来,不知什么时候从幸太郎的头上飞下来,一边跳舞一边在街上奔跑。帽子上系着长长的缎带,从远处看就像鸟儿一样飞翔。幸太郎吃了一惊,“站住!”帽子装作没听见,和风嬉戏着,渐渐朝大马路的方向飞去。
太郎拼命追赶,好不容易追上了,正想按帽子上的蝴蝶结时,风又吹来了,这回像个圆圈一样绕着跑了起来。
少爷,怎么也抓不到啊。”
帽子边跑边说。
这时,风从大通大街吹向小巷,幸太郎的帽子也被风吹弯了。然后躲在那里的啤酒桶后面。
太郎急匆匆地来到小巷的拐角处,却找不到帽子。
“我的帽子不见了。”
太郎快哭出来了。把帽子带走的风也觉得幸太郎很可怜。
“少爷,我来帮你找吧。”
说着,吹了吹啤酒桶后面帽子的尾巴。太郎立刻找到了帽子所在的地方。
“万岁!”
太郎抓着帽子的尾巴叫道。
“风啊,不会再被抢走了!”
太郎双手紧紧握住帽檐说道。
“哦,哦”风一边说着,一边飞走了。
围裙、树叶、纸屑都还在跳舞,幸太郎的帽子却不再跳舞了。
大きな蝙蝠傘
竹久夢二
それはたいそう大きな蝙蝠傘でした。
幹子みきこは、この頃ごろ田舎いなかの方から新しくこちらの学校へ入ってきた新入生でした。髪の形も着物も、東京の少女に較くらべると、かなり田舎染みて見えました。けれど、幹子はそんな事を少しも気にかけないで、学科の勉強とか運動とか、つまり、少女のすべきことだけをやってのけると言った質たちの少女でした。たとえば青い空に葉をさしのべ、太陽の方へ向いてぐんぐん育ってゆく若木のようにのんびりした少女でした。
それにしても、幹子が毎日学校へ持ってくる蝙蝠傘は非常に大きなもので、忽たちまち学校中の評判になりました。
どこの級にも、頓智とんちがあってたいへん口が軽く、気の利いたことを言っては皆を笑わせることの好きな愚おろかな生徒が一人や二人はあるものです。幹子の級にも、時子ときこと朝子あさこという口のわるい生徒がありました。
ある日、幹子みきこは学校へゆく途中で、この口のわるい連中に出会いました。むろんこの時、幹子は例の蝙蝠傘こうもりがさを持っていたので、忽たちまちそれが冷笑の的になりました。
「あら何処どこの紳士かと思ったら、幹子さんだったわ、幹子さんお早う」
時子ときこが言った。なるほど幹子の蝙蝠傘は、黒い毛繻子張けじゅすばりで柄の太い大きなものだから、どう見ても、祖父様おじいさんの古いのをさしたとしか見えませんでした。事実またそうであったかもしれません。この場合「何処の紳士かと思ったら」というのは、ほんとに適評だったので、皆はどっと笑いくずれました。
幹子も一緒になって笑いながら「お早う」と挨拶あいさつして、つまらないお友達にかまってはいられないと言ったように、さっさとそこを通りぬけて、まっすぐに学校の方へ歩いた。
「あのくらい蝙蝠傘が大きかったら日にやけないで好いいわね」
「ええ、だから幹子さんは、お色が白いわよ」
そう言って冷笑しているのも幹子の耳へ這入はいった。けれど幹子は何を言われても平気でいた。
「でも幹子さんの田舎いなかじゃあれでたいへんハイカラなのかも知れないわ」
「そうね。私はこう思うの、幹子さんのお父様はきっと薬屋さんに違いないわ。だから幹子さんをいまに薬売くすりうりにするんだわ。ほら、よく薬売があんな大きな蝙蝠傘をさして来るでしょう。「本家、讃岐さぬきは高松たかまつ千金丹せんきんたん……つて歌って来るじゃないの」そう言って時子は、面白く節をつけて歌って見せた。
「そうよ、そうよ」
「きっとそうだわ」
と口口に言うのでした。
この時、幹子は静かに気にもかけないような風で振返りながら、
「私が薬屋になったら、好よい薬を売ってあげますから、安心していらっしゃいな」
幹子は、笑いながらそう言って、すたすたと行ってしまった。
そう言われると、口のわるい連中も、さすがに何も言えないで黙っていた。
それから四五日してから学校の授業中、俄にわかに雨が降りだして、授業の終る頃ころには流れるように降ってきた。
今こそ、この冷笑の種になった大きな蝙蝠傘が役にたつ時が来た。
幹子は、時子や朝子あさこが、小さな美しい蝙蝠傘を持てあましているのを見かねて、
「皆様この中へ這入っていらっしゃいな、大きいからみんな這入れてよ」
三人は仲よく、大きなハイカラな蝙蝠傘のお蔭かげで、少しも雨にぬれないで家うちへ帰ることが出来たのでした。
大蝙蝠伞
竹久梦二
那是一把很大的洋伞。
干子美纪子是最近从乡下来这所学校的新生。发型和衣服和东京的少女相比,都显得土里土气。,干子对这些事一点也不介意,什么学科学习啦运动啦,也就是少女该做的事她都能做。,她在蓝天上插上叶子,朝着太阳的方向茁壮成长,像小树一样悠闲自在的少女。
如此,干子每天带来学校的洋伞非常大,很快就在学校里传开了。
每个班级都有一两个聪明伶俐、口齿不清的学生,喜欢说些机灵话逗大家发笑。干子的班级里也有两个叫时子和朝子的尖酸刻薄的学生。
一天,干子美纪子在上学的路上遇到了这群说话刻薄的家伙。当然,干子带着那把洋伞,立刻成了众人的笑柄。
“哎呀,我还以为是哪里的绅士呢,原来是干子小姐啊,干子小姐早。”
时子说。干子的洋伞是黑色缎面的,伞柄又粗又大,怎么看都像是爷爷的旧伞。事实或许也是如此。这种情况下,“我还以为是哪里的绅士呢”这句话真是再恰当不过了,大家哄堂大笑起来。
干子也一起笑着说了声“早上好”,然后迅速穿过那里,径直朝学校方向走去,仿佛在说我懒得去理会那些无聊的朋友。
“那么大的阳伞就不要晒了。”
“嗯,所以干子小姐皮肤很白。”
说着冷笑也传到了干子的耳朵里。但干子不管说什么都满不在乎。
“不过在干子小姐的乡下,可能已经很时髦了。”
是啊。我想干子小姐的父亲一定是卖药的,所以干子小姐现在要去卖药。你看,卖药的经常打着那么大的洋伞来。“本家,赞岐是高松千金丹……你不是常唱吗?”时子说着,配上有趣的曲调唱给他听。
“是啊,是啊。”
“一定是这样。”
他开口说道。
这时,干子平静地回过头来,似乎毫不在意地说:
“我要是开了药铺,会卖好药给你的,请放心吧。”
干子笑着说,快步走了。
被他这么一说,那些说话刻薄的家伙也都沉默着说不出话来。
过了四五天,学校上课时突然下起雨来,快下课时雨势如流水般倾盆而下。
现在,这个成为冷笑来源的大蝙蝠伞,该派上用场了。
干子看不下去时子和朝子拿着美丽的小雨伞。
“大家快进来吧,因为太大了,大家都进来吧。”
三人关系很好,托那顶时髦的大雨伞的福,才得以不淋一点雨就回家了。
朝
竹久夢二
ある春の朝でした。
太陽は、いま薔薇色ばらいろの雲をわけて、小山のうえを越える所でした。小さい子供は、白い小さい床ベッドの中で、まだ眠って居おりました。
「お起き、お起き」柱に掛った角時計が言いました。「お起き、お起き」そう言ったけれど、よく眠った太郎たろうは何も聞きませんでした。「私が起して見ましょう」窓に近い木のうえに居た小鳥が言いました。
「坊ちゃんはいつも私に餌えさを下さるから、私がひとつ唄うたを歌って坊ちゃんを起してあげよう」
好よい子の坊ちゃんお眼めざめか?
寝た間に鳥差えさしがさしにくる
庭にいた小鳥がみんな寄って来て声をそろえて歌いました。それでも太郎はなんにも聞えないように眠っていました。
海の方から吹いて来た南風なんぷうは、窓の所へ来て言いました。
「私はこの坊ちゃんをよく知ってますよ。昨日野原で坊ちゃんの凧たこを揚げたのは私だもの。窓から這入はいって坊ちゃんの頬ほっぺたへキッスをして起そう」
南風は、窓からカーテンをあげて子供の寝室へそっと這入っていった。そして太郎たろうさんの紅あかい実のような頬や、若い草のような髪の毛をそよそよと吹いた。けれど子供は、何も知らぬほど深く眠っていました。
「坊ちゃんは私が夜の明けたのを知らせるのを待ってらっしゃるんだ」
庭の隅の鳥小屋からのっそのっそ自信のあるらしい歩調で出て来た牝鶏[#「牝鶏」は底本では「牡鶏」]《めんどり》が言いました。
「誰だれも私ほど坊ちゃんを知ってる者はありませんよ。私ゃね、これで坊ちゃんに大変御贔屓ごひいきになってるんでさあ。どりゃひとつ夜明よあけの唄うたを歌おう」
こっけこっけあどう。
東の山から夜が明けた
お眼めがさめたら何処どこいきやる。
大阪天満の橋の下
千石船に帆をあげて。
こっけ、こっけ、あどう。
牝鶏の朝の唄に驚いて、親鶏の翼の下に寝ていた黄いろい雛ひなも、軒の下の鳩はとも、赤い小牛も、牧場の小屋の中へ眠っていた小羊までが眼を覚さましました。それでも太郎の眼は覚めませんでした。
この時、太陽は小山を越えて、春の空に高く輝きました。草に結んだ露は夢からさめ、鈴蘭すずらんはいちはやく朝の鐘を鳴ならしました。草も木も太陽の方へあたまをあげて、歓よろこびました。太陽はしずしずと森を越え、牧場に光を投げながら、太郎の家うちのお庭の方までやって来ました。そして窓のガラスを通して太郎の顔へ美しい光を投げました。すると太郎は、可愛かあいい眼をぱっちりと明けました。
「かあちゃん、かあちゃん!」お母様はすぐに太郎を見に来ました。
「坊や、お眼がさめたの。誰が坊やを起してくれたえ?」
お母様がききました。けれど誰も答えるものはありませんでした。それは太郎も知りませんでしたから。
早晨
竹久梦二
那是一个春天的早晨。
太阳正拨开玫瑰色的云朵,越过一座小山。孩子还在白色的小床上睡觉。
“起床!起床!”挂在柱子上的方形时钟说。“醒醒,醒醒”太郎这么说着,可是睡得很熟的太郎什么也没听。“我来叫醒你吧!”窗户附近树上的小鸟说。
“少爷经常给我喂食,我来唱首歌叫醒少爷吧!”
乖孩子的少爷醒了吗?
睡觉的时候来打鸟
院子里的小鸟都围过来齐声歌唱。如此,太郎还是什么都没听见似的睡着了。
海上吹来的南风吹到窗边说。
“我和这个少爷很熟。昨天在原野上放少爷风筝的人是我,我从窗户爬进去,吻一下少爷的脸颊,把他叫醒吧!”
南风从窗户拉起窗帘,悄悄进入孩子的卧室。然后轻轻吹了吹太郎那鲜红果实般的脸颊和嫩草般的头发。孩子却睡得很沉,什么都不知道。
“少爷在等我通知天亮了呢。”
从庭院一角的鸟窝里慢吞吞地自信满满地走出来的母鸡说。
“没有人比我更了解少爷了!我很喜欢少爷,来唱一首黎明的歌吧!”
好痛好痛怎么样?
东边的山上天亮了
一觉醒来就去哪儿?
大阪天满桥下
千石船扬帆。
呵呵呵,呵呵呵,阿多。
母鸡的晨歌吓了一跳,睡在母鸡翅膀下的黄色雏鸟、屋檐下的鸽子、红色的小牛、牧场小屋里的小羊都醒了。如此太郎还是没有醒过来。
这时,太阳越过小山,在春天的天空中高亮起来。结在草上的露水从梦中醒来,铃兰早早地敲响了晨钟。草和树都向太阳仰起头来,高兴得不得了。太阳静静地越过森林,一边把光投射到牧场上,一边来到了太郎家的庭院。透过窗玻璃向太郎的脸上投射出美丽的光芒。太郎可爱的眼睛睁得大大的。
“妈妈,妈妈!”妈妈马上来看太郎了。
“孩子,你醒了吗?是谁把孩子叫醒的?”
母亲问。但是没有人回答。太郎也不知道。
日輪草
日輪草は何故枯れたか
竹久夢二
三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。
「こんな所に日輪草が咲くとは、不思議じゃあありませんか」
そこを通る人達は、寺内てらうち将軍の銅像には気がつかない人でさえ、きっとこの花を見つけて、そう言合いました。
熊吉くまきちという水撒みずまき人夫がありました。お役所の紋のついた青い水撒車を引張ひっぱって、毎日半蔵門の方から永田町へかけて、水を撒いて歩くのが、熊さんの仕事でした。
熊さんがこうして、毎日水を撒いてくれるから、この街筋の家では安心して、風を入れるために、障子を明けることも出来るし、学校の生徒たちも、窓を明けておいてお弁当を食べることが出来るのでした。
熊くまさんは、情なさけ深い男でしたから、道の傍そばの草一本にも気をつけて、労いたわるたちでした。
熊さんはある時、自分の仕事場の三宅坂の水揚ポンプの傍に、一本の草の芽が生えたのを見つけました。熊さんは朝晩その草の芽に水をやることを忘れませんでした。可愛かあいい芽は一日一日と育ってゆきました。青い丸爪まるづめのような葉が、日光のなかへ手をひろげたのは、それから間もないことでした。風が吹いても、倒れないように、熊さんは、竹の棒をたててやりました。
だが、それがどんな植物なのか、熊さんにはてんで見当がつきませんでした。円い葉のつぎに三角の葉が出て、やがて茎の端に、触角のある蕾つぼみを持ちはじめました。
「や、おかしな花だぞ、これは、蕾に角が生えてら」
つぎの日、熊さんが、三回目の水を揚げたポンプのところへやってくるとその草は、素晴らしい黄いろい花を咲かせて、太陽の方へ晴晴はればれと向いているのでした。熊さんは、感心してその見事な花を眺めました。熊さんは、電車道に立っている電車のポイントマンを連れてきて、その花を見せました。
「え、どうです」
「なるほどね」ポイントマンも感心しました。
「だが、なんという花だろうね、車掌さん」熊さんはききました。
「日輪草ひまわりそうさ」車掌さんが教えました。
「ほう、日輪草というだね」
「この花は、日盛りに咲いて、太陽が歩く方へついて廻まわるから日輪草って言うのさ」
熊さんはもう嬉うれしくてたまりませんでした。熊さんは、永田町の方へ水を運んでいっても、早く日輪草を見たいものだから、水撒車みずまきぐるまの綱をぐんぐん引いて、早く水をあけて、三宅坂へ少しでも早く帰るようにしました。だから熊さんの水撒車の通ったあとは、いくら暑い日でも涼しくて、どんな風の強い日でも、塵ほこり一ツ立ちませんでした。
太陽が清水谷しみずだに公園の森の向うへ沈んでしまうと、熊さんの日輪草も、つぼみました。
「さあ晩めしの水をやるぞい。おやお前さんはもう眠いんだね」
熊さんはそう言って、首をたれて寝ている花をしばらく眺めました。時によると、日が暮れてずっと暗くなるまで、じっと日輪草をながめていることがありました。
熊さんのお内儀かみさんは、馬鹿ばか正直なかわりに疑い深いたちでした。このごろ熊さんの帰りが晩おそいのに腹をたてていました。
「お前さんは今まで何処どこをうろついていたんだよ。いま何時だと思っているんだい」
「見ねえな、ほら八時よ」
「なんだって、まああきれて物が言えないよ、この人は、いったいこんなに晩おそくまでどこにいたんだよ」
「三宅坂よ」
「三宅坂だって! 嘘うそを言ったら承知しないよ。さ、どこにいたんだよ、誰だれといたんだよ」
「ひめゆりよ」
「ひめゆり! ?」
熊くまさんは、日輪草ひまわりそうのことを、ひめゆりと覚えていたので、その通りお内儀かみさんに言いました。それがそもそも事の起りで、熊さんよりも、力の強いお内儀さんは、熊さんを腰の立たないまで擲なぐりつけました。
「草だよ、草だよ」
熊さんがいくら言訳をしても、お内儀さんは、許すことが出来ませんでした。
翌日あくるひは好いい天気で、太陽は忘れないで、三宅坂の日輪草にも、光と熱とをおくりました。日輪草は眼めをさましましたが、どうしたことか、今日は熊さんがやって来ません。十時になっても、十二時が過ぎても、朝の御馳走ごちそうにありつけませんでした。日輪草は、太陽の方へ顔をあげている元気がなくなって、だんだん首をたれて、とうとうその晩のうちに枯れてしまいました。
日轮草
日轮草为什么会枯萎?
竹久梦二
三宅坂的水泵旁开着一株日轮草。
“这种地方会开日轮草,不是很不可思议吗?”
经过那里的人们,即使是没有注意到寺内将军铜像的人,也一定会看到这朵花,并这样说。
有个叫熊吉的洒水工。熊的工作就是拖着印有政府机关图案的蓝色洒水车,每天从半藏门往永田町方向洒水。
熊先生每天都像这样帮我们洒水,所以这一带的人家都很放心,为了通风,可以打开拉门,学校的学生们也可以开着窗户吃便当。
熊先生是个重情重义的人,连路旁的一草一木都小心翼翼地照顾着。
有一次,熊先生发现自己工作的三宅坂的水泵旁边长出了一棵草的芽。熊先生没有忘记早晚给那些草芽浇水。可爱的芽一天一天地生长着。不久,蓝色的圆爪状的叶子把手伸到阳光下。为了不被风吹倒,熊先生给它立了根竹竿。
,熊先生完全猜不出那是什么植物。圆叶之后长出三角叶,不久茎端开始长出有触角的花蕾。
“呀,好奇怪的花,花蕾上长着角。”
第二天,熊先生来到第三次抽水的水泵旁,发现那些草已经开出了美丽的黄色花朵,正朝着太阳的方向欢快地生长着。熊先生佩服地望着那美丽的花。熊把站在电车道上的电车调度员带来给他们看那朵花。
“嗯,怎么样?”
“原来如此”积分员也很佩服。
“可是,这是什么花啊,列车员先生?”熊先生问。
“日轮草向日葵”列车员告诉我。
“哦,叫日轮草吧?”
“这种花在阳光最盛的时候盛开,会随着太阳的方向走,所以叫日轮草。”
熊高兴得不得了。熊把水运到永田町去,又想早点儿看到日轮草,就使劲拉着洒水车的绳子,想早点儿把水放掉,再早点儿回到三宅坂。所以熊先生的洒水车经过之后,无论多热的天都很凉爽,无论多大风的天都一尘不染。
太阳西沉到清水谷公园森林的对面,熊先生的日轮草也含苞待放了。
“喂,喂晚饭的水。哎呀,你已经困了。”
说着,看了一会儿垂着头睡觉的花。有时会一直盯着日轮草,直到天黑天黑。
先生的老婆虽然很老实,却很多疑。最近熊先生回来得很晚,我很生气。
“你刚才在哪儿晃悠?你知道现在几点了吗?”
“看不见,八点了。”
“你说什么?我都说不出话来了,这么晚了,这个人到底在哪儿?”
“三宅坂。”
“三宅坂!你要是说谎,我可饶不了你。喂,你去哪儿了?和谁在一起了?”
“姬百合。”
“姬百合? !”
熊还记得日轮草叫姬百合,就这么对妻子说了。事情的起因,比熊先生力气大的妻子把熊先生打得直不起腰来。
“是草,是草。”
不管熊先生怎么解释,妻子都不肯原谅。
第二天是个好天气,太阳没有忘记,给三宅坂的日轮草送去了光和热。日轮草醒了,但不知道为什么,今天熊先生没有来。过了十点,过了十二点,都没有吃到早饭。日轮草没有了向太阳抬头的力气,渐渐垂下头来,终于在那天晚上就枯萎了。
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作者:zhangchen
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